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ストレス性疾患とサイケデリック・ルネッサンス


ストレスは、「闘争か逃走反応」を引き起こす苦痛である、とでも定義する。ストレスについての研究を行ったハンス・セリエは、1950年代にストレッサーという言葉に取って替えることで、外部刺激以外のことを含めた[1]。荒削りだが応用させようと思う。

2012年、英米の精神薬理学のトップは、拡大する精神疾患・閉鎖する製薬研究の状況を打破するために、効果のないドラッグ・ウォーの失敗からの薬物政策の転換の議論も加わり、サイケデリックス幻覚剤)の応用を本格化させた。2012年10月ついに、研究が本格化するための環境が整った。サイケデリック・ルネッサンスPsychedelic Renaissance)である。

強いストレスは、心血管にダメージを与え心筋梗塞などのリスクをあげ、免疫を低下させ風邪などの感染症のリスクをあげ、逆にぜんそくやアレルギーといった自己免疫疾患もたらす。また、うつ病をはじめとしたストレス性障害に結びつく。遺伝なり環境なりで弱かった部分や、負荷がかかりすぎた所からダメージが出る。だから、短期的な解決と根本的な解決、部分的でかつ特化した対応と全体的にじわじわ効いてくる対応のそれぞれが可能となる。というわけなので、緊急的な対応を行ったあとに全体的な修復を試みなければ、ほかの部分にダメージが来る。前2つの記事の逆向きの説明になるかと思う。

この仕組みについては「闘争か逃走反応」を理解すればいい。

闘争か逃走反応

脅威を感知した時に、原始的な反応を残した人体に何が起きるだろうか。「闘争か逃走」への備えである。つまり、次のようになる[2]

  • 副腎から、アドレナリン(ストレスホルモン)の分泌。
  • 交感神経が臓器を動員する。
  • 筋肉に酸素を送り込むために、呼吸が激しくなり心拍が高まる。
  • エネルギーの増加、つまり血糖値の増加と、脂肪の分解。
  • 出血を抑えるために、血管の収斂と、凝血を早める。
  • 鎮痛のために、エンドルフィンなどのオピオイドの分泌。

次に、CRF、ACTHの分泌を経て、副腎からコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌。

  • 脂肪や糖分を蓄えやすくし、空腹をもたらす。また、インスリン抵抗性を増し、腹部に脂肪を蓄える。
  • けがに備え、短期的には免疫系の強化、長期的には免疫の抑制。
  • 胃腸や生殖器は後回し。

これらは、ストレッサーに反応した時の「HPA軸」の反応とか呼ばれる。

副交感神経

その後、副交感神経が通常の状態に戻す。つまり、闘争か逃走反応の終結には、リラクセーションのスイッチを入れることである。これは意図的に行うことができる。

ストレス反応のバランスを取り戻す薬は開発されておらず、利用されていないと考えられている[3]

ほかの要因によるコルチゾール分泌などの類似反応

そして、こうした反応はストレッサーがなくても起きる。つまり、悪い生活習慣によって起きることである。ストレスに対処しようとした誤った対策は、喫煙[4]・飲酒のように血圧を高めるもの、高脂肪食のようにコルチゾールの分泌を促す[5]。ばかりでなく、これは依存が形成される。飲酒はラットで副腎の応答を活性化させACTHを分泌[6]。副腎を取り除いた動物ではコルチゾールを分泌できないが、この場合問題のなかったアルコール量で致命的になることから、アルコールの無毒化にコルチゾールが必要になることが分かる[7]。すでに脳と食習慣について、コルチゾールとの関連が少々言われている。

依存症の形成―誤った対策

過食にさようなら-止まらない食欲をコントロールする
デヴィット・A・ケスラー『過食にさようなら-止まらない食欲をコントロールする』伝田晴美訳。原著2009年刊行。
アメリカでベストセラー。
元・米国食品医薬品局-FDA-長官による告発。肥満増加の原因はジャンクフードに対する依存症である。

ストレスに対処しようとした誤った対策は、闘争か逃走のための身体の要請に従って、よりエネルギーを送り込もうとすることである。あるいは誤ったストレスの緩和である。そしてこれは、ドーパミン神経系の刺激を通じて、オピオイドを放出する。オピオイドは、痛みやストレスを緩和し、短期的に気分を良くするが、これはさらに報酬系を刺激するものを欲するサイクルに陥る。依存症である。依存症の発症と再発のリスクの一つはストレスである。

可能性のある代替案

依存性が高いオピオイド以外に、より有害性の低い緩和方法があるのだけど、乱用を理由にして研究もできなくなった現状を英米がなんとか切り開いてきてる。オピオイドや報酬系を刺激するなんとかフェタミンのような有害性の高い薬物と、同等の刑罰化とイメージ付加を行ってしまっているという、難しいところを切り開いた。ストレス性の疾患は全般的に、病気が拡大しているのに新しい薬がない状況に陥っており違法化されているが過去の研究から可能性があり、科学的には有害性というか安全性も再評価を行って治療目的どころか嗜好目的でも安全だとする。ちなみにそういった近年の高度な科学的な手法をとれば、イギリスの科学の結晶から見ればアルコールとタバコは最も有害性があり違法化すべきである。ここまで科学性を高めて英米の科学者は今の薬以上に安全で有効性が高い可能性があるとして切り開こうとし、どんどん成功している。

代替のストレス緩和であるカンナビノイド

モルヒネを置換する治療法なんていうと、ぜんぜんありな感じはするでしょう。
カンナビノイドは、痛みやストレスを緩和し、気分を良くし、ピース系を刺激するサイクルに陥る。ヒッピーである。

依存症に対するサイケデリックス

従来の依存症治療では良くて治療率は30%だろう、それが70%とか言われていれば研究者は試したいだろう。
セロトニン受容体5-HT2Aを主として刺激するサイケデリックス、LSDを使ったアルコール依存症の治療を近年の手法で統計しなおしたところ結果が出ていた、シロシビンを使った禁煙のための認知療法が今行われている、依存症に対して近年だとアヤワスカとイボガインにデータがあると思うんだけど、ヒッピー時代の研究だとLSDとシロシビンが主で、乱用で規制され医療利用ができないとまでされているが、有害性が再評価され、過去の研究から今の治療法以上の可能性が見えるので、再びスポットライトが当たっている。なので、研究がつぶれることはもうない。むしろ広まっていくだろう。最近LSD、シロシビンとアヤワスカでドキュメンタリー映画も撮られた。

もうひとつは麻酔薬ケタミングルタミン酸受容体NMDAを刺激することがわかっている。併用の心理療法がさまざまなドラッグの依存症に有効であるという研究が上がっている。

共通する体験は、一体感と不安のなさである[8]

・Franz X. “The neurobiology of psychedelic drugs: implications for the treatment of mood disordersNature Reviews Neuroscience, 2010. PMID 22817963.[8]
・Ben Sessa. “Shaping the renaissance of psychedelic research“. Lancet, 2012 Jul 21;380(9838):200-1. PMID 22817963.[9]

本質は1949年リチウムの応用にはじまる精神薬理学のみせかけの成長の清算

アメリカ国立精神衛生研究所NIMHの所長、欧州神経精神薬理学会でのデヴィッド・ナットの報告やプロザックのイーライ・リリー社の副社長によれば、従来の理論に従った効果が横並びであるものの製薬開発が多く、あと一歩の効果であるものから薬の性能が改善する見通しがないので、ついに続々と研究開発が閉鎖した。これは、すべての精神疾患に対することである。
・Thomas R. Insel. “Disruptive insights in psychiatry: transforming a clinical disciplineJ Clin Invest. 2009 April 1; 119(4): 700–705.[10]
・Thomas R. Insel. “Next-generation treatments for mental disorders.” Sci Transl Med. 2012 Oct 10;4(155):155ps19. doi: 10.1126/scitranslmed.3004873. PMID 23052292.[11]
・Daniel Cressey “Psychopharmacology in crisisnature, 14 June 2011, doi:10.1038/news.2011.367.[12]
・Joop van Gerven, Adam Cohen “Vanishing clinical psychopharmacologyBr J Clin Pharmacol. 2011 July; 72(1): 1–5. doi 10.1111/j.1365-2125.2011.04021.x
・H. Christian Fibiger “Psychiatry, The Pharmaceutical Industry, and The Road to Better TherapeuticsSchizophr Bull (2012) 38 (4): 649-650. doi 10.1093/schbul/sbs073
・Peter Tyrer “The end of the psychopharmacological revolution“. The British Journal of Psychiatry 201(2):August 11th 2012, 168. doi 10.1192/bjp.201.2.168.
・”New psychiatric drugs low priority for pharmaceutical firms: Huge unmet need for better drugs for people with depression” CBC News, 2012-10-14

さらに、2020年までにうつ病が世界2位の病気になるという世界保健機関の予測がある。たらたらやってる暇はない、と。
したがって、過去に大いなる可能性が見られた幻覚剤を中心としたストレス性疾患に対する研究が復興している。サイケデリック・ルネッサンスである。なぜならばイーライ・リリー副社長が述べるように、科学的な基礎研究をアカデミーのほうに求めており、以下で見ていくが、これに応えるようにNIMHや、特にEUおよびUKのデヴィッド・ナットが先導を切っていることから大きな流れになったということにある。

学習性無力感

ストレスから逃れられないことを学習した学習性無力感うつ病のモデルとして考えられており、学習性無力感に陥ったラットとうつ病者と同様にコルチゾールのレベルが高い[13]。大きな精神的な負担がありさらにコントロールを失ったと感じている場合、血圧が高く、動脈硬化もみられた[14][15]

エサを我慢しているラットはセロトニンが多く分泌し、あきらめると半減[16]。逆にセロトニンを抑制すると、あきらめやすくなる[17]

コルチゾール過剰

記憶にかかわる部位である海馬にコルチゾール受容体があり[18]、海馬のコルチゾールが過剰となると、海馬が疲労し情動を伴った記憶の形成と想起を妨げる[19]
海馬はストレス反応の停止にも関係があり[20]、海馬に損傷があればストレス反応を止めるのに苦労する[21]

持続的な過度なストレス → コルチゾールの分泌 → 海馬にダメージ → ストレス反応の抑制不能 → ストレス反応が持続 → 海馬にダメージ と悪循環する。
つまり、ストレスホルモンの過剰分泌により、ストレス反応の停止が機能しなくなる。

コルチゾール過剰分泌のクッシング症候群で、記憶喪失はコルチゾールの産生量に比例し、海馬の大きさはトラウマを受けていたほうが小さい、ベトナム帰還兵や幼児虐待者を含む[22]。海馬の損傷で損なわれる記憶は思い出のようなエピソード記憶で、定義である意味記憶は損なわれない。うつ病歴に応じて海馬が委縮している[23]。クッシング症候群を研究していたスタークマンらは、コルチゾールを改善すると海馬が正常な大きさに戻りつつあることを突き止める[24]

脳の神経可塑性がわかったのが2000年前後で、2000年のノーベル医学賞がよく言われる区切りである。それまでは成人までに形成された脳細胞は死滅する一方と考えられた。それが、その後も脳細胞は成長する、新しく成長した脳の神経細胞が死滅した脳細胞の代わりにもなるよ、と。それはリハビリの理論の下地にもなる。

動物が慢性の心理ストレスで海馬が委縮し、元にも戻る[25]。海馬の脳由来神経栄養因子BDNF)も減少する[26]。BDNFがコルチゾールから海馬を守る物質である。BDNF、神経の栄養が消耗するので海馬の成長がストップする。

Θシータ波が出ているときは学習が活発になっていて、脳の神経が成長していると考えられていて、それは楽しい学習のこと。

ケタミンの即効的な抗うつ効果には、自殺年慮をなくすという重要な効果が見られる。最初にはBDNFはかかわっていない、BDNFはあとから増えてくる。アメリカ国立衛生研究所NIMHが先導を切って、治療抵抗性のうつ病に対しても3時間で効果を発揮し自殺年慮をなくす、永続的ではないが1回の投与でしばらくの日数は寛解しているように見えるというので次の世代の抗うつ薬のモデルにした。
・Thomas R. Insel. “Next-generation treatments for mental disorders.” Sci Transl Med. 2012 Oct 10;4(155):155ps19. doi: 10.1126/scitranslmed.3004873. PMID 23052292.[11]

NIMH所長による大規模研究からの考察によれば、既存の抗うつ薬は、概して14週後の寛解率が約30%であり、さらに14週後に残りの70%のうちの30%の寛解率で累積寛解率が50%ほどになりという計算で、効いてはいるようだがプラセボとまたプラセボ効果もまた未治療とも違い効果の多くを占めているとみられており、さらに自然回復もあるために、それらとの明らかな分離を困難にさせており、その後の再発もあるので最善の数値で14週後に約30%という状況にある。非常に理解困難である。ケタミンによる数時間後の寛解率はこの倍以上である。

免疫の異常

コルチゾールの放出によって、白血球はリンパや皮膚などに移動する[27]。ラットでストレスが3週間も続くと、免疫が抑制され始める、1週間休めば回復する[28]

社会的支援のない介護者の免疫機能が弱い[29]。戦死した息子を持つイスラエル人の追跡調査、連れ合いを亡くしたり離婚した親は死亡率が高い[30]。カップル間の対立についての会話で否定的または攻撃的だった場合、24時間アドレナリンとACTHの分泌が高く、免疫活動が低下[31]

オキシトシン

ラットでオキシトシンは赤ちゃんラットの面倒見と関係している[32]。オキシトシンは授乳、タッチ、暖かい温度などで分泌し、オキシトシンを注射されたラットは、血圧とコルチゾールレベルが低下する[33]。ラットにオキシトシンを注射すると、血圧、心拍数、コルチゾールが数週間下がる[34]

MDMAの研究から、オキシトシンがPTSDのフラッシュバックの恐怖をおさえ、併用の暴露療法によって高い割合で完治しているように思える。基礎研究では暴露療法の成功率を上げ7割以上が数年後でも再発していないというデータがある。イギリスが保険適応させたいんだって[9]。だから国民の理解を得るためにテレビで研究を特集したと。そして、研究結果は近いうちに出版される。
Drugs Live: the facts behind the programme, Independent Scientific Committee on Drugs, 2012-10-4

アメリカでは帰還兵のPTSDに起因する自殺が戦闘での負傷を上回っている。うつ病に次いで治療法の開発を切迫させる理由となる。MDMA併用の暴露療法に対してデータが欲しいNIMH所長は返事を出し出資を行った。
National Institute of Mental Health to Consider Grant Proposal for MDMA/PTSD Research, 2012-10-16
The Hobbit, Nick Clegg and the clinical use of LSD, telegraph, December 14th, 2012

扁桃体

扁桃体は記憶に際し海馬とリンクして動く。強い恐怖やポジティブな感情が絡んだときに1回で記憶されている[35]。扁桃体にストレスホルモンが増えると、心配が増す[36]。この扁桃体と記憶がPTSDのフラッシュバックに関与するといわれている。

脳では神経可塑性がなくなってしまったと

それで新しい見方がない。

イギリスでは、うつ病のためのシロシビンの研究に入った。過剰なネガティブな記憶の想起が弱まったことと、神秘体験時の脳内の変化をfMRIで観察したことを『全米科学アカデミー紀要』で報告した[37]。扁桃体の正常な活動がネガティブの記憶の想起の停止と、世界をいいものであるとみなしはじめることについて重要である。
・Kate Kelland, Ben Hirschler “Insight: Antidepressants give drugmakers the blues
” Reuters 2012-03-23
イギリスで2013年早々に30人の被験者で研究に入る。

『全米科学アカデミー紀要』での報告によれば、PCCと呼ばれる部位の活動が弱まる[37]。これは、自我・自己の感覚が融解するという東洋思想や仏教に見られる状態や、宇宙と融けあった状態のようなものを推測させる。サイケデリックな方法には、精神分析を促進させる目的で低用量で十回とか用いる方法があり、過去の忘れてしまった何かに気づきやすい。それと高容量でトランスパーソナルなサイケデリック体験、出生時の記憶から宇宙的体験を起こすだいたい単回の方法がある。研究をみるように今は後者に移っている。これはパーセントのデータよりは主観的体験談によって、従来の方法の拡張にあると理解することで興味が出る。

反芻にフォーカスした認知行動療法(Rumination-Focused Cognitive Behavioral Therapy:RF-CBT)、詳しいことはよくわからないが、機能しないうつ病にみられる反芻を認識したうえで行動する。ネガティブな記憶の想起は、機能しない症状だとして認知させて置いておいて、行動する。似たようなものでは、イギリスのうつ病のためのガイドラインで、再発するうつ病に対してマインドフルネス療法が推奨されている。

対人関係療法(IPT)では、対人関係に起因するストレスを緩和することによって、自発的にPTSDのトラウマに挑戦している。このことは、ストレスを緩和することが優先されることについて重要であるかもしれない。IPTの場合、症状と病者の分離、病者の役割モデルを与える、対人関係ストレスの選定、ロールプレイによる有効そうなコミュニケーションの練習によって、コミュニケーションを奏効させ、対人関係ストレスの緩和のあとに、ネガティブな性格と思われたものが消滅する。慢性的なストレッサーの変化を挟んでいる。

サイケデリックスで言われてきたことは似ており、変性意識状態で識域下の記憶に自発的にアクセスし、認識の変換が起こり、症状の消滅やパーソナリティのポジティブな変化が起こる。しかも服用は一回。21世紀にもシロシビンで何回か行われた[37][8][9]。スイスではcancerにLSDを投与し、気分を治そうとしてる実験が完了した。そのうち出版される。過去にはこれは痛みにも効くようだ[8]

サイケの効果のありそうな範囲は、ここまでのあたり。

1960年代の神経伝達物質、1970年代のエンドルフィン、ホルモン、受容体、脳画像、科学がついに次のレベルへ変容

1960年代にアドレナリン、ドーパミン、セロトニン、GABA、グルタミン酸といった神経伝達物質が発見される。契機は1930年代のアセチルコリンの発見である。

別にエンドルフィンは、1970年代に入り発見され、これはのちにオキシトシンやプロラクチンといった絆ホルモンの発見につながる。

ドーパミン、セロトニン、GABAを正常化すればいいという理論は、コマーシャリズムがあってよく知られることになったけれど、たぶん結果的に正常化されるんだけど、もっと原因である神経可塑性とかがどうにかならないといけなくて、ドーパミン、セロトニン、GABAを増減すれば治るというのは少しずれているんじゃないか、という感じだ。統合失調症でさえ、症状の強弱がストレスと相関し、RCTのシステマティック・レビューでヨガが[38]、RCTでオメガ3脂肪酸が[39]症状を軽減させるとわかってきている。グルタミン酸のNMDA受容体というのが、90年代に臨死体験の流れでリアリーが語っている。オキシトシンやBDNF、それに脳内カンナビノイドがどうのこうのというのは、1995~2000年くらいから。

2000年~、2010年~、どんどんソーシャル・システムがクラッシュ。先祖がえり。いや、少し違う、ハイブリッド。無理な科学がティッピングポイントを超えたところから、その軋轢が、科学をハイブリッドさせる。枯れたものを取り込む。

スマートなNMDA受容体、まったりとオキシトシン・リリース、うねるセロトニン受容体。そしてトリッキーなカンナビノイド。

枯れた知識が返り咲く。世界中の呪いのお祭りのはじまりだ。

それでバックグラウンドは精神薬理学の科学化の大事業を行った後に、法学に反映するという、完全にイギリスの民主主義の技巧

アメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)とEU精神神経薬理学のトップ2者が、最近の上で述べたような研究に新規性と可能性があるのでたまに言及していたが、おそらく2012年10月のMDMA併用療法の研究によって決定打になっただろう。それはアメリカではNIMHの出資研究、イギリスではドラッグトライアルという番組を通して研究を行う。

これまで以上に有害性が低く効果のある、また資本主義・コマーシャリズムに毒されない治療法として、特許のない製薬に関する研究、これだけのことが大変だ。イギリスも民主主義として国民保険をやってるのだから、当然行われるべきだった。伝統的な科学誌のある英米の科学を、そして民主主義の基本原理を曲げるなと、じゃないと滅びるぞということだけど。アメリカでは大規模研究がたくさんあり、現在の薬は横並びの効果であることがわかり、利益最大化主義でコマーシャルやっても先がないという結論に達した。2020年にうつ病が世界2位の病気になるという予測がある、つまり市場が大きくなっているのに製薬会社は軒並み研究を閉鎖した。EU代表およびUKのデヴィッド・ナットは、したがってロンドンインペリアルカレッジの教授で新しい抗うつ薬にシロシビンの研究を行い、イギリス政府から独立した外郭の薬物評価機関の代表でありアルコールを最も有害としたことを法にさせるべきだと。さらに2012年10月にテレビ番組で今述べた研究を行った。結果は、のちに科学誌に掲載される。

スポンサーという事情とドラッグという負の印象があり、専門性も横断しているというななかなか表に出ないワケがある。だから、点で見てもニュースだけど、よく把握しないと完全に科学で土台を固めなおしてることがわからない。これはイギリスでデヴィット・ナットがさまざまな批判を受けながらLancet誌を通して薬物の有害性を評価し、2012年10月にイギリス薬物政策委員会によるA Fresh Approach to Drugs: the final report of the UK Drug Policy Commission[40]で極まった。

法学の源流の科学を、依存症・うつ病・PTSD・薬物政策・薬物全体の有害性・分野を横断して根本的に転換してるからなかなかわかりにくい。しかし法学の根拠とするべきものである科学を英米の伝統に復帰させよという原則が働いている。だから成功した暁には、いかに科学から市場/印象を排除し法を作るかということが達成されるし、次の民主主義の完成と新しい抗うつ薬の完成がいきなり現れた感じになる。新しい抗うつ薬の完成とは新しい精神薬理学の完成を意味する、そこから治療法・法律もろもろが生まれる。いろんなことが起きることをやってるから、つまり西洋哲学の「哲学」のエスプリだ。エビデンスから法を作る民主主義だ。すっげー面白い。

参考文献

  • The End of Stress as We Know It, 2002『ストレスに負けない脳』
    ブルース・マキューアン&エリザベス・ノートン・レスリー、桜内篤子訳、ISBN 978-4152085948。

脚注

  1. ^『ストレスに負けない脳』p26、64
  2. ^『ストレスに負けない脳』p20、41-44、108
  3. ^『ストレスに負けない脳』p30
  4. ^PMID 8586813
  5. ^PMID 2789494
  6. ^PMID 9359583
  7. ^『ストレスに負けない脳』p203
  8. ^^^^Franz X. “The neurobiology of psychedelic drugs: implications for the treatment of mood disordersNature Reviews Neuroscience, 2010. PMID 22817963.
  9. ^^^Ben Sessa. “Shaping the renaissance of psychedelic research“. Lancet, 2012 Jul 21;380(9838):200-1. PMID 22817963.
  10. ^Thomas R. Insel. “Disruptive insights in psychiatry: transforming a clinical discipline” J Clin Invest. 2009 April 1; 119(4): 700–705.
  11. ^^Thomas R. Insel. “Next-generation treatments for mental disorders.” Sci Transl Med. 2012 Oct 10;4(155):155ps19. doi: 10.1126/scitranslmed.3004873. PMID 23052292.
  12. ^Daniel Cressey “Psychopharmacology in crisisnature, 14 June 2011, doi:10.1038/news.2011.367.
  13. ^『ストレスに負けない脳』p83-84
  14. ^『ストレスに負けない脳』105
  15. ^PMID 2138234
  16. ^doi: 10.1523/JNEUROSCI.3714-10.2011
  17. ^doi: 10.1523/​JNEUROSCI.0915-12.2012
  18. ^『ストレスに負けない脳』p85
  19. ^PMID 8182446
  20. ^doi: 10.1210/edrv-12-2-118
  21. ^『ストレスに負けない脳』p158
  22. ^PMID 1450290
  23. ^PMID 8632988
  24. ^『ストレスに負けない脳』p167
  25. ^PMID 9065509
  26. ^doi:10.1007/s00406-009-0036-y
  27. ^PMID 8759750
  28. ^PMID 9512816
  29. ^PMID 1656478
  30. ^PMID 3405252
  31. ^PMID 9629292
  32. ^PMID 11589145
  33. ^PMID 9924739 1998
  34. ^PMID 8916187
  35. ^『ストレスに負けない脳』p60-61
  36. ^doi: 10.1210/edrv-7-3-284
  37. ^^^Carhart-Harris RL, Erritzoe D, Williams T, Stone JM, Reed LJ, Colasanti A, Tyacke RJ, Leech R, Malizia AL, Murphy K, Hobden P, Evans J, Feilding A, Wise RG, Nutt DJ. “Neural correlates of the psychedelic state as determined by fMRI studies with psilocybinProc Natl Acad Sci U S A. 2012 Feb 7;109(6):2138-43. Epub 2012 Jan 23. PMID 22308440 . PMCID PMC3277566.
  38. ^PMID 22486714.
  39. ^PMID 20124114
  40. ^A Fresh Approach to Drugs: the final report of the UK Drug Policy Commission, UK Drug Policy Commission, 15 October 2012

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