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トランスパーソナル心理学、統合思想の実用の現在


トランスパーソナル心理学を提唱したスタニスラフ・グロフは、1960年代にLSDによる研究を経て、マズローとともに提唱している。1980~1990年代にかけて、トランスパーソナルな世界を思想的に統合したケン・ウィルバー。旧来の方法の限界を見て、トランスパーソナルな方法は、いまや科学され、主流の科学者がその道を開拓する。詳しくは見ていかないけれど、科学的根拠を含む現代的な流れをざっと。

トランスパーソナル心理学(超個心理学)は、LSDを使ったまじめな心理学的な統計をとってその精神の回復の奇跡をみていたスタニスラフ・グロフ(スタン・グロフ、Stanislav Grof)が、心理学の発展は精神分析のフロイトから、科学的行動主義のスキナーときて、自己実現のアブラハム・マズローときた、このマズローとスタン・グロフが1969年にトランスパーソナル心理学会を設立。グロフによれば、トランスパーソナルはユングが使った言葉である。

のちにグロフはLSDではないが意識状態を変容させる呼吸法であるホロトロピック・セラピーを開発した。

トランスパーソナル心理学

病理的な精神を対象としていた従来の心理学から、マズローのところで、人間性心理学、超健康的な状態をめざした。その後、超発達みたいなほうへはいっていった。それが神秘的体験や宗教体験を視野入れるようになるが、それがトランスパーソナル心理学の主要点となる。従来の心理学では異常に分類される領域だ。

トランスパーソナル心理学から、統合心理学へ―ケン・ウィルバー

さらに全発達段階を含めて統合心理学が提唱される。

化学と生物学の大学院生であったケン・ウィルバーがシャンバラ書店から大量に本を取り寄せ読み、物質ではないものに興味を持ち大学はやめて、宗教的精神状態についてのカテゴリー化についての本を書いたら爆発的成功[1]。すでにトランスパーソナルに限らず、全発達段階を視野に入れている。精神医学的に許容範囲だろう本は『アートマン・プロジェクト』(原著 artman project, 1980)と『統合心理学への道』(原著 The Eye Of Spirit, 1997)、後者のほうがあとの著作なので最初に読むにはいいんだけど、前者のほうは精神分析の小難しい感じでそれもいいと思う。『ワン・テイスト』(One Taste, 1999)という日記はもっと具体的なことが、さらっとだけ書いてある。全体的で入門書な感じであとは、ハクスリーからギンズバーグ、ティモシー・リアリーまでちょっと日記を書いてるし。あとのは西洋哲学や東洋哲学、自我発達を超えていくとする各宗教のスピリチュアルな成長段階の思想面が初めのほうは強く、病理のほうはぜんぜんつっこんでなくてさらっと、次に統合心理学だがまだトランスパーソナルが強い。最近のは応用編だね。一番最初の『意識のスペクトル』だけは、まだ思想が固まってないからおすすめできない。

細かい瞑想の段階はスタニスラフ・グロフ+クリスティーナ・グロフの『スピリチュアル・エマージェンシー』(SPIRITUAL EMARGENCY)に載っているジャック・コンフィールドの「霊的修行における障害と変転」がいちばん細かな指導が載っている。

過去の参考記事

ケン・ウィルバーの統合思想

マズローがはじめに言ってる。ロジャー・ウォルシュRoger Walsh)は『トランスパーソナル宣言-自我を超えて』(原著 BEYOND EGO, 1980)[2]という論文集を出してるんだけど、ここにマズローの「メタ動機:価値ある生き方の生物学的基盤」という内在的生活の論文を載せて、

多くの不要な衝突や分裂を解消する有効な案を生み出すのはそのように考えていくことによってである。たとえば、よくある「観念論」と「唯物論」の対立だが、かりにヘーゲルの「精神」とマルクスの「自然」が同一の連続体の上でヒエラルキー的に統合されるならば、そのヒエラルキー的連続体によってさまざまな解決法が自然に得られるだろう。
(引用元の論文:アブラハム・マズロー(上野圭一訳)「メタ動機:価値ある生き方の生物学的基盤」 ロジャー・N. ウォルシュ+フランシス ヴォーン編『トランスパーソナル宣言-自我を超えて』吉福伸逸訳編、春秋社、1986、ISBN 978-439336003。225-244ページ。(原著 BEYOND EGO, 1980))

黒か白か、ゼロか一かじゃなくて、その対立じゃなくて、パーセンテージで考えましょう、対立させない、使い分ける。これがケン・ウィルバーKen Wilber)を読み解くことの基本。これを大風呂敷に、統合―インテグラル―な思考。物質では意識では、個人では群では、科学では思想では、論理では心理では、意識のどのへん?体のどのへん?脳?ニューロン?ミネラル?、形而上思想からは、形而下思想からは?。対立しない、させない、協調。今風の思考スタイルになる。単一還元論もシステム論も、全体分化のホーリズム(東洋思考)も、断片分析の科学思考(西洋思考)も対立していない。LSDとかの幻覚剤は瞑想に役立てられる人もいますね、だけど瞑想が本義だよ、と。

非物質とのつなぎめ

Lifestyle and Mental Healthという、ロジャー・ウォルシュが、具体的な実践を予防と回復を含めたレベルで統合しなおしてくれたような論文がある。ケン・ウィルバーで言う全体的に統合的にの実践であり、そういう第二層思考への促進、進化であり不可逆である。たとえば、西洋医学と代替医療の統合医療。統合医療の提唱者アンドルー・ワイルAndrew Weil)が、初期の主著は、幻覚剤と医療大麻の医療への応用。統合医療になったあとのアンドルー・ワイルだと、ロジャー・ウォルシュの論文の昔のスタイルみたいになる。

mysticが科学と手を組んで、意識と脳のmystic、つなぎめは物質のサイケデリックスpsychedelics, 幻覚剤)、精神訓練のマインドフルネス瞑想(Mind-fullness based Meditation)が科学誌でも来てるね。たとえば、科学誌で、サイケデリックスによる現在までの精神疾患の治療効果や作用機序の論文、またそれが少なければ1回の神秘体験で済むから、面白い。

プロザック主義の衰退

特許をとったけど、ジェネリック化された薬に優越しないし、すごくたくさんの人数で治験をする治験費用がかかる。特許を取り続けて似たような効果の新薬を出し広告し売らなければならないというビジネス・モデルが衰退してる。2003年市場160億円のピークは過ぎた、市場規模は2016年には60億円と三分の一くらいになっていくらしい。天然の物質は特許を取れないし代謝のいいものはある、それか特許のきれた物質を、非営利団体的に民主主義的に、解放し、また生活スタイルによって能動的に快復する。一部の利益を、全体の利益に、全体の力で。
デヴィット・ナット(David Nutt)は、イギリス政府の主任薬物アドバイザーだったが、彼が書いたLSDやマジックマッシュルームよりもアルコールやたばこが危険度が高いとする論文がLancet誌に掲載された。今はロンドン大学インペリアルカレッジでマジックマッシュルームをfMRIでうつ病に応用しようとしている。マジックマッシュルームは、重度のうつ病患者に電気けいれん療法を行ったときと同じように、病理的な脳内の接続を遮断する。そのあたりのニュースはここ。
・Kate Kelland ,Ben Hirschler. “Insight – Antidepressants give drugmakers the blues” (Reuters, Mar 23, 2012)
サイケデリックスには、抗うつ薬や抗不安薬と違い、離脱症状がない。そして、従来の治療の限界にアタックしている。

サイケデリック・リサーチ

不安障害と依存症に焦点をあてて、LSD、シロシビン、アヤワスカ、イボガイン、MDMAが用いられてきた。シロシビンは末期がんの不安、強迫性障害、うつ病、ニコチン依存症(また群発頭痛)。ケタミンはアルコール依存症やヘロイン依存症、また迅速な抗うつ作用。MDMAアシスト心理療法では治療抵抗性のPTSD。
・Ben Sessa. “Shaping the renaissance of psychedelic researchLancet, 2012 Jul 21;380(9838):200-1. PMID 22817963.

より新しい関連記事

  • ストレス性疾患とサイケデリック・ルネッサンス 1949年にはじまる2012年までの精神薬理学のモデルは限界に達した。アメリカ国立精神衛生研究所NIMH所長の言及。イギリスでは国民保健サービスのNICEに適用させる目的で薬物政策の議論を挟んでいる。

瞑想の科学

ロジャー・ウォルシュのLifestyle and Mental Healthでストレス管理の部分では、瞑想が主になっている。

リラクゼーションとストレス管理
慢性的なストレッサーは、複数の臓器系および度合いにわたって主な打撃を与えることができます。この打撃は心理的なことが心理的、化学的(例:酸化ストレス)、ゲノム発現にまで広がっている。(ゆえに、心理社会的ゲノミクスの新しい分野; Dusek et al., 2008)ストレスは普遍的だが、その管理を訓練された人はほとんどいません。また、ヒトは今、進化や歴史上先例がない、多くの新しいストレッサーに直面しています。したがって、多くの人々が、広告、メディアのお手本、新しい種類の向精神薬のようなまん延する不健康な影響を受け扇動されて、不器用にあるいは自己破壊的にさえ反応します。(Buss, 2000)
(―ロジャー・ウォルシュ:アメリカ心理学会誌論文より。Roger Walsh “Lifestyle and Mental HealthAmerican Psychological 66(7), October 2011, pp579-92. PMID 21244124.)

具体的なストレス管理のスキルは、身体的、心理的、瞑想的なアプローチを含む。
太極拳と気功(Qui gong)の中国マインドフル運動の実践は、身体的および心理的な利点に関連付けられることを示唆する。太極拳の15件の無作為対象化試験の調査では、不安や抑うつの治療のための重要な利点がある。

西洋の自己管理技術、筋弛緩法は、最終的に、筋肉の緊張を解放する事を学ぶ。筋弛緩法は、パニックと全般性不安障害を含む不安障害の治療に広く利用され、メタ分析では中程度から大きな効果の大きさを示す。

瞑想は、かなりの研究で、大人と子供の両方で特にストレス関連による、心理および心身症を広く改善することを示唆している。メタアナリシスを含め複数の研究では、瞑想は、正常および臨床の集団のストレスを減らす。部分的に心身症は、例えば、心血管性高血圧と高コレステロール血症、原発性月経困難症と2型糖尿病、喘息、慢性の痛みなどのホルモン障害が挙げられる。反応する心理的困難はほかに、不眠、不安、抑うつ、摂食、境界性人格障害が挙げられる。

瞑想が健康管理の専門家にとって特に重要なのは、苦痛と燃え尽きを減らしながら、共感、感受性、情緒の安定、心理的成熟度として評価される介護者の資質を高めることができるという知見がある。

以上のようなことをまとめている。
慢性疾患から心身症、精神疾患から老化までの、Lifestyle and Mental Healthで紹介される生活スタイルによるストレス性障害を管理するライフスタイルのサブセットは、以下の組み合わせとなる。
・運動(物理的)
食事と栄養(物理的)
・自然の中での時間(関係)
・人との結びつき(関係、心理療法を含む)
・レクリエーション(心理的)
・リラックス、ストレス対策(心理的―上で挙げたもの)
・敬虔さ(トランスパーソナル的)
・利他主義、スピリチュアルなかかわり(トランスパーソナル的)

そして、これを違う方向から見る

思想的には、人間性潜在性開花と文明の挑戦である。破壊の主体は、広告と消費の過剰な資本主義、生産量と消費欲と楽の追求による自己破滅的な”暇なし”によるストレス、そこに登場するジャンクフードと酒そしてたばこの依存症、過剰な利己主義と人間関係の亀裂、および自然な環境の破壊。という悪循環。

トランスパーソナル的には、サトルおよびコーザルの体験の効果。軽いトランスパーソナルである瞑想―リラクセーションと自己モニタリグ―は、衝動と暴走、筋緊張による不眠や慢性痛に効果あり。そこから神秘体験の入り口のサトルは、不安障害の範囲に効果あり。おそらくそれはストレスによって発現している見かけ上パーソナリティと誤解されがちな”悲観的な思考という正常な症状”を消す。そして、神秘体験の幸福感は依存症に対抗する。多幸感は、人とのむすびつきと利他主義に関連付けられ、それは恐怖の影響を無効にする。

統合思想的には、物質と感情、身体と精神といった部分がどう対応しているのか、どの発達段階から考えているか、どの発達段階に効果があるのか、どの発達を促すのかといったことになる。

過去の参考記事

脚注

  1. ^ケン・ウィルバー『グレースアンドグリット上』19~22ページ。(原著 GRACE AND GRIT, 1991)
  2. ^ロジャー・N. ウォルシュ+フランシス ヴォーン編『トランスパーソナル宣言-自我を超えて』吉福伸逸訳編、春秋社、1986、ISBN 978-4393360033。225-244ページ。(原著 BEYOND EGO, 1980)

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