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炭水化物を太ると思い込ませた―アメリカのビジネスと日本の洗脳


炭水化物の直接の消費量は1960年代にも減反され減ってきた。ここでいう炭水化物は、厳密な定義ではなく話し言葉のように、砂糖ではないお米や小麦といった穀物を意味する。かわりに、消費量が増えたのは直接には肉や牛乳といった畜産物で、畜産動物の餌にするため、日本では米と小麦を足した消費量よりトウモロコシを一番多く使っている。トウモロコシの多くはアメリカから輸入するものだ。炭水化物の消費量が減ってから肥満は爆発的に増加した。お菓子のような食べ物のコマーシャルに政府が介入したり、介入される前に、食品の栄養を改善するために自主規制しだした。肥満税が施行された国もあり、ジャンクフード、脂肪分を抜いていない全乳、砂糖を加えた炭酸飲料といった肥満のリスクを高める食品に税金をかける。このように見ると、穀物の多国籍グローバル企業(穀物メジャー―モンサント社とか)と、畜産食品、コーンシュガーを加えたジュース、ジャンクフードに利益が出る仕組みが出来上がる。

もとから肥満のような病気のリスクを下げるために、もっと炭水化物を食べましょう、というメッセージしかない。

誤った情報はどこから侵入してきたのか―そのふたつの経路


戦後に1954年から10年ぐらいでアメリカの資金援助で厚生省主導で米を批判してから麦を奨励し、2003年ごろ低炭水化物ダイエットが全盛を迎えた。

「アメリカ小麦戦略」と「厚生省の栄養改善運動」(Propaganda by the U.S. and Japan)

「アメリカ小麦戦略」と日本人の食生活
1954年に日米が互いに軍事支援をするMSA協定を結び自衛隊が発足、この協定で販売市場がなくなったアメリカの小麦を日本に売る。2か月ほどでPL480法(俗称、余剰農産物処理法)に更新。1967年に「平和のための食糧計画」(Food for peace)となり、アメリカの余剰作物で飢餓人口が救われるという形をとった。

米は太るから麦にしようというプロパガンダによる洗脳

このあたりに米から麦に移行させるためにマスメディアを使い「米は太る(麦にしよう)」とか言い出した。キッチンカーを走らせ、栄養士がフライパンの使い方を教えるフライパン運動をし、小麦食品を食べるように仕向けた。

アメリカの対日穀物戦略 誰が手引きしたのか
アメリカの対日穀物戦略 誰が手引きしたのか

それを推進した厚生省栄養課の初代課長、後の国立健康栄養研究所所長である有本邦太が後悔したころには、小麦食品とともに高カロリーなおかずが食卓に蔓延していた。

「日本人は米国に餌付けされた。その手先になったのが私だ。自分の教え子たちが、その政策に沿って世界に例のない一億総国際食実験をやっている。いずれ大変なことになるだろう」(中略)
「もう私は退官し、力がない。取り返しはつかない…。竹熊さん、あとを頼む」
(西日本新聞社「食くらし」取材班 『食卓の向こう側〈1〉(西日本新聞ブックレット)』西日本新聞社、2004年4月。ISBN 978-4816705977。より引用。)

アメリカの余剰穀物を買うための栄養学になっていた。1年で米と麦を交互に育てる二毛作という麦翁・権田愛三(ごんだあいぞう)が広めた農法は減っていく。権田愛三の地、埼玉の麦は今では風味豊かなものとして重宝される。ご飯の消費量が減り田んぼが減り(減反され)、セットの素朴なおかずが減り、欧米食が普及し高カロリーとなり、日本人が太りだした。

体重コントロールのための栄養学

1977年には「米国の食事目標」(Dietary Goals for the United States)という報告で肥満などの裕福病を減らすために炭水化物については「全粒穀物を増やして砂糖を減らす。炭水化物は現状よりもう少し多く全カロリー中の55~60%食べる」ということが示された。このことは、後30年以上の数々の研究によってますます正しさを証明されていくだけであった。

こういう裕福な人々がふつう摂っている食事は、どこでも同じような病気の傾向――虚血性心疾患、ある種のガン、糖尿病、肥満病と関連しています。(中略)肉類をへらし、脂肪をへらし、飽和脂肪をへらし、コレステロールを減らし、砂糖をへらし、塩をへらし、果物、野菜、不飽和脂肪と穀物、特に精白しない全粒穀物をふやすような食事に、どんな危険性があるでしょうか。
D・M・ヘグステッド(ハーバード大学公衆衛生学部栄養学教授)
(『米国の食事改善目標』日本CI協会、1978年。(Dietary Goals for the United States, February 1977)5-6ページより引用。)

葬られた「第二のマクガバン報告」(下巻)
『葬られた「第二のマクガバン報告」下 政界・医学会・食品医薬品業界が犯した「情報黙殺」の大罪』

この報告書だけでなく後続の研究は畜産業や砂糖産業から強い抵抗を受け続けた[1]

低炭水化物ダイエット(low-carb diets boom)

そうこうしているうちに低炭水化物ダイエット(アトキンス・ダイエット)というのが入ってきた。炭水化物の多い食品は食べず、体重が減っても砂糖と精白された穀物は食べず全粒穀物を少し食べる、というダイエット。2003年にはアメリカで全盛を迎えたが、その年にダイエットの考案者のアトキンスが死亡時に89kg(擁護側)あるいは116kgで転倒によって死亡した後、人気を失いアトキンス社は破産した。このダイエットには長期的には健康への影響が懸念されるため正当な栄養学者は推奨していない。たとえば、吐き気、頭痛、便秘のような軽いものから、痛風のようなものの懸念がある。
過食にさようなら-止まらない食欲をコントロールする
デヴィット・A・ケスラー『過食にさようなら-止まらない食欲をコントロールする』伝田晴美訳。原著2009年刊行。
アメリカでベストセラー。
元・米国食品医薬品局-FDA-長官による告発。

炭水化物の消費量が減って、太る食品はすぐ手に入るところにあふれる。穀物の消費量が減った1980年代以降に肥満が爆発的に増加、世界的な問題となる。そのへんのものを適当に食べればすぐに太る社会環境に。

肥満を増やす未成年へのジャンクフードのコマーシャルに政府が介入(Junk food and Commercialism)

2000年以降は、各国で肥満の歯止めない増加からこどもへのビタミンやミネラルが少なく高カロリーなジャンクフード、スイーツやお菓子やジュース、ファーストフード、高脂肪・高飽和脂肪の欧米食のような食べ物が問題とされた。未成年へのコマーシャルのやり方や学校や学校周辺での規制、販売される食品の栄養バランスについて政府の介入を必要とするようになった。そういったジャンクフードは食べだすと止まらない、そして太りやすい。

世界保健機関(WHO)の定義するかたくなな制限とむちゃ食いの食事パターン [2](”Rigid restraint/periodic disinhibition” eating patterns)は、かたくなに食事を制限する時と、制限なしにめちゃくちゃに食べる時を繰り返す。これは肥満のリスクである可能性がある。

今では、薬物依存症ジャンクフードによる肥満の両方に脳内に同様の変化があるということで研究が進行中。
包囲されるマクドナルド、マウスはジャンクフードで過食して肥満になりヘルシーな食事を拒否した
ジャンクフード・砂糖と脂っこい食品は麻薬食品、主食にはホールフードを食べよう

2011年、世界保健機関、野菜や果物だけでなくもっと全粒穀物や豆を食べよう!そして、肥満税の施行(Junk Food Tax, Obesity Tax)

2011年の世界保健機関の提言は、野菜と果物だけでなく、全粒穀物や豆類ナッツを増やし、砂糖が多く高脂肪、高塩分で高カロリーなジャンクフードを制限しようとなる[3]。マーケティングの改善、手頃な価格でヘルシーな食事にアクセスできることが必要。2003年やこの世界保健機関の勧告に沿い、数カ国で肥満に関連付けられる飲食品に肥満税が施行されている。つまり、肥満税の対象は穀物ではなく、お菓子やファーストフードを含むジャンクフードや、欧米では常識だが乳脂肪分を抜いていない全乳、果汁入りだろうが炭酸だろうが砂糖を加えたジュース、こってりなあるいは脂っこいお肉、栄養素を見るとそういうものになる。

むすび

おそらく、この二つの経路で「米は太る(麦を食べよう)」「炭水化物は太る」という迷信が残ってあらゆるところに広がった。そこに太る食品がすぐ手に入る。どう食べていいのか分からない混乱。増え続ける飢餓人口を、爆発的に増える肥満人口が上回った。スタンダードな体重コントロールの栄養学的な答えは「全粒穀物にして少し増やす」ということに尽きる。

関連項目

脚注

  1. ^マリオン・ネスル「食品に関するロビイング活動」『ケンブリッジ世界の食物史大百科事典〈4〉栄養と健康・現代の課題』朝倉書店、2005年。ISBN 978-4254435344。341~350ページ。(The Cambridge world history of food, 2000)
  2. ^Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases, Report of a Joint WHO/FAO Expert Consultation, 2003
  3. ^Obesity and overweight Fact sheet N°311(World Health Organization, Updated March 2011)

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