nowHere
Home > 医療 > 骨が溶けることでなる病気、動物性タンパク質と砂糖

骨が溶けることでなる病気、動物性タンパク質と砂糖


酸性食品(acid food)とは、体に酸性の負荷をかけるもので、カルシウムなどのアルカリで中和する結果、病気を引き起こす因子となる食品である。2010年8月に発行された『新しい臨床栄養学改訂第5版』は、管理栄養士国家試験を目標にしたテキストだが、酸性食品・アルカリ性食品の分類が書いてある[1]。動物性タンパク質が骨を流出させる。さらに少し概念が違うが砂糖(ショ糖)は歯も溶かす。米や麦に含まれる炭水化物のデンプンと違い、砂糖は虫歯菌のエサとなることで虫歯となり歯が溶けるというのが、2003年の世界保健機関の報告である[2]

酸性食品は、短期では、痛風・高尿酸血症、中期的には尿路結石や腎結石、長期的には骨粗鬆症につながっていく。痛風、高尿酸血症には、腎障害、尿路結石が高頻度に合併する[3]。そうなると、人工透析や心臓病につながっていきます。

本邦では1960年以前、痛風は稀な疾病であった。しかし、それ以降、食生活の欧米化やアルコール摂取量の増加に伴い、年を追って急増し、現在の患者数は推定30~60万人、そしてなお増え続けているものと思われる。(中略)さらに、かつて50歳代であった痛風発症年齢の若年化も認められ、30歳代にピークが移ってきている。
(『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン-ダイジェスト版』日本痛風・核酸代謝学会、2002年。ISBN 4-901935-02-X。2ページより引用。)

尿路結石症の研究で高名なイギリスのロバートソン博士が1979年に発表した「再発性シュウ酸カルシウム結石患者は菜食主義者になるべきか?」という論文です。彼は85人の男子特発性尿路結石患者さんの食事調査を行ったところ、再発性結石患者さんの総タンパク質、動物性タンパク質、肉類摂取量が単発結石患者さんや対象群と比較して有意に多いことを報告し、動物性タンパク質摂取量が尿中カルシウム排泄量に多大な影響を及ぼしていることを強調しました。この研究は日本で尿路結石症の栄養学的研究が行われるきっかけとなりまりした。
(井口正典『Q&Aでわかる尿路結石患者の食事指導』メディカ出版、2005年。40‐41ページより引用。ISBN 978-4840411998。)

ウォルター・ウィレット(ハーバード大学医学部に食事と病気の関連を観る公衆疫学部を創設した教授)「低脂肪牛乳は、ほぼ確実に、全脂肪牛乳より望ましいものですが、それでもなお動物性蛋白質という負荷があり、それは往々にして必要総量を超えて摂取され、むしろ逆に骨折の危険性を高めるものとなっています[4]

酸性度の指標と病気

1995年には、リマーとマンツによる食品の酸性度・アルカリ度の腎臓に対する負荷(PRALPotential Renal Acid Load、腎臓に対する潜在的な酸性負荷)という計測値が考案され採用されている[5]。この概念を使って現在進行形で研究がおこなわれています。

まず、2007年の世界保健機関の報告だが、豆類以外のタンパク質は酸性負荷が高く骨を流出させる可能性があるということである。

タンパク質の含量が高い食事は尿中カルシウム排出を増加させる可能性があり、タンパク質摂取量を2倍にすると尿中カルシウムは50%増加する。このことについては、十分に立証されている。骨の無機質出納は酸塩基平衡に対する感受性が非常に高く、含硫アミノ酸であるメチオニンとシステインの酸化によってもたらされる酸負荷を中和する必要性への反応として、カルシウムが骨から動員される可能性がある。(中略)
しかし、腎臓からの正味の酸排出量は、カルシウム排出量を予測すること、そして食事によるカリウム摂取は主に弱有機酸塩としてなのでアルカリ化作用があり、食事中タンパク質のカリウムに対する比から予測可能なことがいまや明らかになっている。したがって、女性では、内因性非炭酸の摂取量が低い(すなわち、タンパク質摂取量は低いがカリウム摂取量は高い)と、骨の健康の評価指標を改善するという結果が出た。このことは、食事による主要カリウム源である果物と野菜が骨の健康に有益な影響を及ぼすことの説明になるものと思われる。(中略)
タンパク質由来の酸を中和するのに十分なアルカリが食事に含まれていないと、正味のカルシウム損失が起き、骨基質に対するタンパク質の同化刺激は骨の無機質密度を維持するのに有効ではなくなってしまう。(中略)
実際のところ、穀類と多くの植物性タンパク質(豆を除く)の含硫アミノ酸の含量は、肉や乳製品と変わらない。
(『タンパク質・アミノ酸の必要量-WHO/FAO/UNU合同専門協議会報告』日本アミノ酸学会監訳、医歯薬出版、2009年。ISBN 978-4263705681。172-174ページより引用。(原著 Protein and amino acid requirements in human nutrition, 2007))

これが、2003年の世界保健機関の報告で、野菜と果物と大豆食品を骨粗鬆症のリスクを低くする可能性があるとしている[2]理由であろう。また、閉経後の女性にアルカリ質を与えたところ、骨の流出量が減っている[6]

砂糖によるPRALの値は、酸性ではないが、医療の専門家による診療ガイドラインの2つ(骨粗鬆症に関するガイドライン[7]、尿路結石に関するガイドライン[8])は、骨を流出させるとしている。

また、2007年の世界保健機関の報告で、腎結石は動物性たんぱく質の摂取量が多いほどリスクが高まる[9]

世界保健機関の報告の前からも、血液のpHを一定に保つために骨のカルシウムを使って酸を中和すると、専門家は説明しています。

体は生き延びるために、細胞外液のpH値を七・三~七・四五のアルカリ性に維持しようとします。主にアルカリ性の食事をしていれば、骨格に蓄えられた供給源を使って中和する必要がないのです。研究によれば、pHが少し下がっただけででも、体は酸性になり、骨吸収が猛烈な勢いで進みます。体は適切なpH値を維持するためなら、骨格のような重要な部分さえ犠牲にするのです。
(マリリン・グレンビル『検証骨粗鬆症にならない体質』服部由美訳、骨粗鬆症財団理事長・折茂肇監修、産調出版、2006年。ISBN 978-4882824916。104ページより引用。(原著 Osteoporosis The silent epidemic, 2005))

病気によって血液が酸性になるアシドーシスが長く続いている場合には、明確に骨に異常が現れ、アルカリを摂取することで骨が回復します。

成人の骨格には、平均して50,000meqのCa2+が、血漿のpHに比べてアルカリ性の塩の形で含まれている。慢性のアシドーシスでは、大量に蓄積されているこの塩が血漿のpHを制御しようとして引き出される。そのため、慢性の腎臓病や腎臓からの酸排泄障害をもつ重症な患者でも、血漿のpHや[HCOc]が連続的に減少していかないことは経験的にも知られている。(中略)このとき、骨成分に起こる変化は必然的に生じたものであり、臨床的にも、レントゲン所見からも、くる病(ricket)や骨軟化症(osteomalacia)がしばしばはっきりと現われる。これらの患者に、血漿の[HCOc]を回復させるために、炭酸水素ナトリウムやクエン酸ナトリウムの型で十分量のアルカリを長期にわたって投与すると、患者の骨が治癒していくことが示されている。
(トーマス・M・デヴリン編『デヴリン生化学-臨床との関連〈下〉第2版』上代淑人・監、啓学出版、1987年。ISBN 978-4766508789。984ページより引用。(原著 Textbook of biochemistry with clinical correlations))

骨折

33カ国の調査では、動物性タンパク質の摂取比の多い国ほど股関節の骨折率が高くなっています[10]

研究者は、「動物性タンパク質は植物性タンパク質と異なり、体にもたらされる酸の量を増やしてしまうため」と説明している。酸の量が増加するということは、血液や組織の酸性度が増すということを意味する。体は酸性の環境が嫌いだ。(中略)この酸を中和するためには、体はカルシウムを使う。(中略)
そして、結局は骨から引き出されるのである。(中略)
二〇〇〇年にはカルフォルニア大学医学部サンフランシスコ校による研究が報告された。この研究は三三か国、八七件の調査によって「植物性タンパク質対動物性タンパク質の摂取量比較」と「骨折の割合」との関係を分析している。この調査によって、植物性タンパク質の摂取量が動物性タンパク質の摂取量に比べて高くなれば、それだけ骨折率が低くなる、という見事なほどの相関関係があることがわかった。
(T・コリン・キャンベル、トーマス・M・キャンベル『葬られた「第二のマクガバン報告」中巻-あらゆる生活習慣病を改善する「人間と食の原則」』松田麻美子訳、グスコー出版、2010年。ISBN 978-4901423151。251、254ページより引用。(原著 THE CHINA STUDY, 2004)

尿路結石

尿路結石の原因のひとつも同じく動物性タンパク質と砂糖である。同じくカルシウムの流出が原因となる。

尿路結石発生に関して、動物性蛋白質の過剰摂取が指摘されている。動物性蛋白質は尿中カルシウム、蓚酸、尿酸排泄を増加させ、尿中クエン酸排泄を減少させる。(中略)
一方、砂糖(refined carbohydrate)の過剰摂取は尿中カルシウム排泄を増加させるため、特に高カルシウム尿を示す患者には、砂糖摂取量を控えさせることが重要である。
(厚生科学研究班編「食生活からみた食事指導」『尿路結石症診療ガイドライン』改訂版、2004年。より引用。)

砂糖の多量摂取は体液を酸性に傾ける結果、腎遠位尿細管でのカルシウム再吸収が抑制されることで尿中カルシウム排泄量を増加させます。
(井口正典『Q&Aでわかる尿路結石患者の食事指導』メディカ出版、2005年。60ページより引用。ISBN 978-4840411998。)

結石患者の半数以上に、骨塩量の減少が観察されている[11]

砂糖入りソフトドリンク摂取量と痛風発症の関係
砂糖入りソフトドリンク摂取量と痛風発症の関係[12]

痛風・高尿酸血症

痛風、高尿酸血症はアルコールなども関与する(アルコールも骨によくないが)が、また動物性食品と砂糖も原因となる。

プリン体の含有量の低い食品が多く、また尿の中性化に有効であるアルカリ性食品は、尿酸の尿中での溶解度を高める効果からも大いに勧められる。(中略)さらに、果糖の過剰摂取は尿路結石の形成を促進するとの疫学的研究もあり、ショ糖や果糖の過剰摂取は避けたほうがよい。
(『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン-ダイジェスト版第2版』日本痛風・核酸代謝学会、2010年。ISBN ISBN 978-4779205064。111ページより引用。)

動物性食品に多い、プリン体は、また尿路結石の原因でもある[13]

痛風発症リスクの比較
痛風発症リスクの比較[14]
尿をアルカリ化する食品と酸性化する食品[15]
尿をアルカリ化する食品 アルカリ度 酸性度 尿を酸性化する食品
ヒジキ・わかめ 高い 卵・豚肉・サバ
こんぶ・干ししいたけ・大豆 牛肉・アオヤギ
ほうれんそう カツオ・ホタテ
ごぼう・さつま芋 精白米・ブリ
にんじん マグロ・サンマ
バナナ・里芋 アジ・カマス
キャベツ・メロン イワシ・カレイ
大根・かぶ・なす アナゴ・芝エビ
じゃが芋・グレープフルーツ 低い 大正エビ

低炭水化物ダイエットから学ぶ

アトキンス・ダイエットというダイエット法は、砂糖がインスリン抵抗性を狂わせ太りやすい体質にするから、炭水化物を摂取せずタンパク質を食べ放題に、減量後は、精白されていない穀物を少し摂取しようというものでした[16]

アトキンスの資金提供による研究で、ダイエットの実践者に、尿中カルシウムの増加、その結石化である尿路結石、吐き気、半数以上に頭痛・便秘・口臭などがみられた[17]

脚注

  1. ^後藤 昌義、瀧下 修一・共著『新しい臨床栄養学改訂第5版』南江堂、2010年8月。198ページ。ISBN 978-4524260829
  2. ^^Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases, Report of a Joint WHO/FAO Expert Consultation, 2003
  3. ^高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン-ダイジェスト版』日本痛風・核酸代謝学会、2002年。ISBN 4-901935-02-X。48ページ。
  4. ^ウォルター・C・ウィレット、ローレンス・ハルオ・クシ、エリザベス・B・リナート「現代的知識の観点から見た地中海式食事における健康との関連」『erewhon』Vol3、2002年11月。73-86ページより引用。
  5. ^マリリン・グレンビル『検証骨粗鬆症にならない体質』服部由美訳、骨粗鬆症財団理事長・折茂肇監修、産調出版、2006年。ISBN 978-4882824916。(原著 Osteoporosis The silent epidemic, 2005)
  6. ^Sebastian A, Harris ST, Ottaway JH et al. “Improved mineral balance and skeletal metabolism in postmenopausal women treated with potassium bicarbonate” N Engl J Med. 1994 Jun 23;330(25):pp1776-81. PMID 8190153
  7. ^Reiner Bartl, Bertha Frisch『骨粗鬆症 診断・予防・治療ガイド』中村利孝監訳、メディカル・サイエンス・インターナショナル、2007年10月。ISBN 978-4895924887。(原著 Osteoporosis Diagnosis, Prevention, Therapy, 2007)
  8. ^厚生科学研究班編「食生活からみた食事指導」『尿路結石症診療ガイドライン』改訂版、2004年。
  9. ^『タンパク質・アミノ酸の必要量-WHO/FAO/UNU合同専門協議会報告』日本アミノ酸学会監訳、医歯薬出版、2009年。ISBN 978-4263705681。173ページ。(原著 Protein and amino acid requirements in human nutrition, 2007)
  10. ^Frassetto LA, Todd KM, Morris RC Jr et al. “Worldwide incidence of hip fracture in elderly women: relation to consumption of animal and vegetable foodsJ Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2000 Oct;55(10):M585-92. PMID 11034231
  11. ^辻秀憲ほか. 『日本尿路結石学会第9回学術集会記録集』1999年。pp5-10。
  12. ^『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン-ダイジェスト版第2版』日本痛風・核酸代謝学会、2010年。ISBN ISBN 978-4779205064。40ページより引用。
  13. ^井口正典『Q&Aでわかる尿路結石患者の食事指導』メディカ出版、2005年。ISBN 978-4840411998。38ページ。
  14. ^『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン-ダイジェスト版第2版』日本痛風・核酸代謝学会、2010年。ISBN ISBN 978-4779205064。41ページより引用。
  15. ^高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン-ダイジェスト版』日本痛風・核酸代謝学会、2002年。ISBN 4-901935-02-X。49ページより引用。
  16. ^R・アトキンス『アトキンス式 低炭水化物ダイエット』橋本三四郎訳、荒井稔訳、河出書房新社、2005年。ISBN 978-4309280141。(原著 Dr. Atkins’ New Diet Revolution
  17. ^Westman EC, Yancy WS, Edman JS, Tomlin KF et al. “Effect of 6-month adherence to a very low carbohydrate diet program” Am J Med. 2002 Jul;113(1),pp30-6. PMID 12106620

コメントを残す

Top