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アヤワスカ(ayahuasca、あるいはヤヘ:yage)とは、DMT(ジメチルトリプタミン、dimethyltryptamine)を含む植物と、ハルマラ・アルカロイドを含む植物の煮汁で、最強のサイケデリックスの一つで、ペルーの国宝である。
飲用すると、至福感としばしば幻覚を含むサイケデリック体験が起こり、さまざまな知識を得て、シャーマンは聖霊と交信する。南米において、アヤワスカを飲むシャーマンによって医療や占いに用いられている。また、近年では、南米で慢性病や精神疾患や依存性薬物の依存症の治療に用いられたり、諸外国から南米へアヤワスカによるビジョンや医療を求めたアヤワスカ・ツアーの旅行客が訪れる。

志人 アヤワスカ(end's not near remix)
志人 – アヤワスカ remix
ヒップホップです。

「良薬は口に苦し」

「最近ではダイエットにくる外国人女性もふえてますね」
「まさか、アヤワスカダイエットですか」
「わたしもそれがきっかけだったんです。数ある薬草の中でもアヤワスカだけは別格です。万能薬というよりも賢者なのです。太った原因や運命の意味まで教えてくれますよ」
(AKIRA『アヤワスカ!-地上最強のドラッグを求めて』講談社、2001年。ISBN 978-4062107860。139ページより引用。)

アヤワスカとヤヘという呼称

エクアドルとペルーではケチュア族がアヤワスカと呼び、コロンビアとブラジルの一部ではトゥピ族がヤヘと呼ぶ[1]。アヤワスカはケチュア語で、「精霊の蔓」「死者の蔓」という意味で、後述するカーピという蔓(つる)のこともそう呼ぶ[2][3]

アヤワスカ教会

ブラジルではアヤワスカは信仰対象である。2大教会として、ブラジルには、サント・ダイミとウニアーオ・ド・ヴェゲタル(UDV)の二つのアヤワスカ教会がある[4]。サント(saint、聖なる)・ダイミはポルトガル語です。ライムド・イリネウ・セーハがアヤワスカにダイミー(give me)、光をください、愛をくださいと請願したことからはじまった宗教である[5]。サント・ダイミでは、アヤワスカのことをダイミ(Daime)とも呼ぶ[1]
ペルーで精霊の歌イカロ、ブラジルでは神の歌イーノと呼ばれる魔法の歌があり、イリネウは139の歌を残し、次々と病人を治した[5]

南米のアヤワスカの発見

アヤワスカは南米で、シャーマンが使い、後にアステカ帝国やマヤ帝国で聖職者が使用したが、これらの帝国を侵略したスペイン人がカトリック教会の信仰の下、悪魔の化身としたため禁じられたが、奥地ではアヤワスカの儀式の伝統が続き再発見された[6]
1850年代、植物学者リチャード・スプルースらが、アマゾンのリオ・ネグロでシャーマンがアヤワスカを飲んでいるのを発見し、成分を含む蔓(つる)をバニステリア・カーピ(Banisteria caapi)と命名した[3]。バニステリオプシス・カーピ(Banisteriopsis Caapi)とも呼ばれる[3]。カーピは巨大な蔓で、長さ100メートル、重量1トンに達することもある[2]
1923年、薬剤師のフィッシャー・カルナデスがカーピから二種類のアルカロイドを分離し、テレパシンと名づける[7]
1940年代、民族植物学者のリチャード・エヴァンズ・シュルツ[8]は、アヤワスカを含む植物を知り、分析し20回以上の神秘体験を重ね、1951年に書籍で紹介する[9]。南米のアヤワスカは、DMTを含むサイコトリア・ヴィリディス(Psychotria viridis、チャクルーナ)の葉やチャリポンガ(Diplopterys cabrerana)の葉や Virola calophylla の樹皮をカーピ(ハルマラ・アルカロイドを含む)と一緒に煮込んだものである。これによって麻薬探究者の作家であるウィリアム・バロウズがアヤワスカについて知ることになる[9]
1952年5月、バロウズが「まちがいない。ヤーヘはすごい可能性を持つネタで、その真価がわかるのはおれだ」と確信し、アヤワスカ探求の旅に出る [10]。1963年に、バロウズによる探求の手紙のやりとりが『麻薬書簡』[10]として出版され、アヤワスカは広く知られるようになった。
それ以降は、同じ成分を含む2種類の植物の組み合わせが、南米ではない場所でも発見される。

アヤワスカの成分、DMTとハルマラ・アルカロイド

DMTを含む植物

DMTを含む植物は比較的多く、どこにでもある雑草のクサヨシ(Phalaris arundinacea)、プレーリー・ミモザ(Desmanthus illinoensis)か、インド自生の竹のような植物Arundo donaxにも含まれる[11]。Arundo donaxは、ほかの含有成分により副作用のほうが酷く、プレーリー・ミモザにはDMTが根に含まれるため効率が悪く、クサヨシにはDMTが葉と茎に含まれ成長が簡単でカナダの厳しい冬にも耐える[11]。このように見ると世界的に成長が容易で効率がいいのはクサヨシである。
DMTを含むアナデナンテラ・ペレグリナ(あるいはペグリナ、Anadenanthera peregrina)の種子を炒って挽いたものを鼻から吸い込む部族もいる。鼻から吸い込むには理由があり、DMTをそのまま飲むと胃の中のモノアミン・オキシターゼにDMTが破壊されてしまうためである[12]。この破壊を防ぐためにカーピなどの植物が組み合わせられる。また、DMTのみの吸引では違う効果が10~30分続き[9]、踊り歌い、神や霊魂と交信する[13]。代替医療とドラッグ研究の先駆者であるアンドルー・ワイルによれば、吸引や注射といった方法は、「ラッシュ」で短時間に急激な作用を引き起こすということである[13]。また、DMTとLSDでは、どちらかを摂取しても両方に耐性がつく交叉耐性がある[14]

ハルマラ・アルカロイド(MAOI)

カーピの主成分はハルミンとハルマリンである。このハルマラ・アルカロイド類が、モノアミン・オキシターゼがDMTを破壊する効果を止めるモノアミン酸化酵素阻害剤(MAOI)としてはたらく。MAOIは抗うつ薬の一つとして処方されている。MAOIによって、DMTが脳内で神経伝達物質セロトニンのようにはたらくようになる[15]。もっと狭い意味ではハルマラは「可逆的MAOI」で作用時間が6時間ほどである[16]。これがアヤワスカの作用時間となる。
シリアン・ルー(Syrian Rue、シリア・ヘンルーダ、Peganum harmala)はアジアでは「トルコ・レッド」という絨毯の染料としても用いられる植物だが、ハルミンとハルマリンはこの植物の種と根から初めて分離され、ハルマラという名前はこの植物からつけられた[17]。熱帯雨林以外の場所では、カーピよりシリアン・ルーが成長に適している[17]。ラムフは、テレパシンがシリアン・ルーのハルマリンと同一であると調査した[18]

  • アヤワスカ(ペルー)=ジャグービ(ブラジル)=ダイミ:植物はカーピ:成分はハルミンとハルマリン[19]
  • チャクルーナ(ペルー)=ライニーニャ(ブラジル):成分はDMT[19]
  • この二つは、男と女であるし、陰と陽の象徴でもある。もっと手っ取り早く言えば、いままで分裂していたもののバランスを取ることを意味している。(中略)統合が取れた自分を生き返らせる必要がある。だが、これはただの幻覚剤だ。どんな価値を与えるかは、あんた自身の力量にかかってる。
    (藤本みどり『アヤワスカ』成星出版、1999年。ISBN 978-4916008985。217ページより引用。)

MAOIの注意

MAOIは命にかかわる可能性のあるセロトニン症候群が起こる可能性があるので、事前に口に入れるものに注意する必要があり、少なくとも8時間ぐらい何も食べない状態が必要である。コーヒーとアルコール、脂の多い食事を避ける[20]。MAOIは、ほかのサイケデリックスや、肉、卵、乳製品、漬物、タンパク質を含む食品、酒、風邪薬と一緒に摂取してはいけない[16]。ほかに抗うつ薬のSSRIもダメです。それから、MAOIの効果が切れるまでは食べない。タバコは大丈夫です。MAOIとセロトニン症候群については事前に詳しく調べるといいです。

セロトニン症候群の対症療法

セロトニン症候群によって血圧が急上昇した場合、フェントラミン5mgを静脈注射し、4~6時間ごとに0.25~0.5mgを注射、あるいは、クロルプロマジン50mgを注射し、1~2時間ごとに25mgを注射して低血圧・高血圧に注意して様子を見る[21]

シャーマンの食事

いいシャーマンになるには食事制限が必須で、何年も守ることが必要である[16]。シャーマンの食事は菜食に近いもので[20]、バター、砂糖、塩を避けて、米やユカ芋、甘くない青いバナナ、特定の魚を食べる[22]

「アヤワスカを飲んでも、すぐにヴィジョンを見ることができる人もいるし、そうでない人もいる。それにヴィジョンでも、二種類あるんだよ。一つは、いわゆるドラッグを飲んだときにあるようなサイケデリックな幻覚で、こんなものはきみの言うようになんの意味もない。だけどもう一つは、過去や未来が出てきたり、ちゃんとストーリーがあって、本人が納得できるものがあるんだ」
(藤本みどり『アヤワスカ』成星出版、1999年。ISBN 978-4916008985。129ページより引用。)

アヤワスカの健康に対する効果

アヤワスカは現地では万能薬に考えられる[15]。心臓病、内臓疾患、寄生虫、神経症、アルツハイマー、パーキンソン病、マラリア、アルコール依存症、がんに有効とされる[23]
1990年代、UDVの信者を調査したところ、副作用はなく、信者でない人よりもアルコール中毒や依存性薬物の中毒、暴力行動が少ない、その証拠として、脳内の神経伝達物質であるセロトニン・レベルが上がっており、自尊心が高まり、攻撃性が低下していたと報告された[9]
現地の医療関係者によれば、うつ病や不安障害、依存性薬物(アルコール、コカイン、アンフェタミン、タバコ)などの乱用の改善が見られ、なにより、人とのかかわり方が良好に変化する[24]

参考文献

  • AKIRA『アヤワスカ!-地上最強のドラッグを求めて』講談社、2001年。ISBN 978-4062107860
  • 「第10章 アヤワスカとその類似物」ジム・デコーン『ドラッグ・シャーマニズム』竹田純子訳、高城恭子訳、青弓社、1996年。ISBN 978-4787231277。(原著 Psychedelic Shamanism, 1994)187-209ページ。

外部リンク

トラベラーの体験記

アヤワスカ・メッセージ

dis information / con version

浄化は吐き気を伴う。
世界が、深い愛でこそ支えられているように。
ことばなんかなんっでもいい。
伝えたいことがあるだけ。

dis information / con version

不思議な世界のおとぎばなし。
ことばは心があるがためにはじまった。だれかに伝えるために覚えた。
今考えてみると、幼かったからはじまりがめちゃくちゃな作業。今も続けている。
要は、このおおもとの前提を、認識してつくりなおおせばいい。
いつしか、いきなり言葉を通じて質問に答えよ方式。しかも教えられた答えが間違っている。判断を情報交換することなどしない。
頭で考えることに集中して、心のことは置いてきぼり。判断を情報交換することなどしない。
解けない問題に答えが来ない。教えるほうにも答えが来ない。停止する迷子者たち。
質問とセットの答えしか分かってない。腹の底から分かってないし、頑固だから分かってないなんて教えないよ。はい、「迷子者追加」。
さらに迷子係もいません。じゃあ、「迷子者同士今わかっていることを交換して大きな分かっていることにしてください」。
心が迷子なのに、教科書には「はじめに言葉ありき」とかしか書いてありません。教科書に書いてあるから正解とか間違っているとかはもう終わりです。
注意をテキストやディスプレイから、今総動員している知覚に戻しました。そうすると、判断の情報交換がはじまりました。
心は光に包まれ、知覚を浄化して、世界はつくりなおされました。

脚注

  1. ^^ジム・デコーン『ドラッグ・シャーマニズム』竹田純子訳、高城恭子訳、青弓社、1996年。187ページ。ISBN 978-4787231277。(原著 Psychedelic Shamanism, 1994)
  2. ^^テレンス・マッケナ『神々の糧』小山田義文訳、中村功訳、2003年。ISBN 978-4807403240。333ページ。(原著 food of the gods, 1992)
  3. ^^^テレンス・マッケナ『神々の糧』小山田義文訳、中村功訳、2003年。ISBN 978-4807403240。272-273ページ(原著 food of the gods, 1992)
  4. ^ジョン・ホーガン『科学を捨て、神秘へと向かう理性』竹内薫訳、徳間書店、2004年11月。201-228ページ。ISBN 978-4198619503。(原著 Rational mysticism, 2003)
  5. ^^AKIRA『アヤワスカ!-地上最強のドラッグを求めて』講談社、2001年。ISBN 978-4062107860。205ページ。
  6. ^レスター・グリンスプーン、ジェームズ・B. バカラー『サイケデリック・ドラッグ-向精神物質の科学と文化』杵渕幸子訳、妙木浩之訳、工作舎、2000年。ISBN 978-4875023210。85ページ。(原著 Psychedelic Drugs Reconsidered, 1979)
  7. ^ウィリアム・バロウズ、アレン・ギンズバーグ『麻薬書簡-再現版』山形浩生訳、《 河出文庫》、2007年。139、155ページ。ISBN 978-4309462981
  8. ^テレンス・マッケナ『神々の糧』小山田義文訳、中村功訳、2003年。ISBN 978-4807403240。290-291ページ。(原著 food of the gods, 1992)
  9. ^^^^ジョン・ホーガン『科学を捨て、神秘へと向かう理性』竹内薫訳、徳間書店、2004年11月。212-213ページ。ISBN 978-4198619503。(原著 Rational mysticism, 2003)
  10. ^^ウィリアム・バロウズ、アレン・ギンズバーグ『麻薬書簡-再現版』山形浩生訳、《 河出文庫》、2007年。196ページ。ISBN 978-4309462981
  11. ^^ジム・デコーン『ドラッグ・シャーマニズム』竹田純子訳、高城恭子訳、青弓社、1996年。ISBN 978-4787231277。198-200ページ。(原著 Psychedelic Shamanism, 1994)
  12. ^テレンス・マッケナ『神々の糧』小山田義文訳、中村功訳、2003年。ISBN 978-4807403240。313ページ。(原著 food of the gods, 1992)
  13. ^^A.ワイル、W.ローセン『チョコレートからヘロインまで-ドラッグカルチャーのすべて』ハミルトン遥子訳、第三書館、1986年。152-155ページ。ISBN 978-4807486113
  14. ^レスター・グリンスプーン、ジェームズ・B. バカラー『サイケデリック・ドラッグ-向精神物質の科学と文化』杵渕幸子訳、妙木浩之訳、工作舎、2000年。ISBN 978-4875023210。44ページ。(原著 Psychedelic Drugs Reconsidered, 1979)
  15. ^^テレンス・マッケナ『神々の糧』小山田義文訳、中村功訳、2003年。ISBN 978-4807403240。274-276ページ。(原著 food of the gods, 1992)
  16. ^^^ジム・デコーン『ドラッグ・シャーマニズム』竹田純子訳、高城恭子訳、青弓社、1996年。ISBN 978-4787231277。191-192ページ。(原著 Psychedelic Shamanism, 1994)
  17. ^^ジム・デコーン『ドラッグ・シャーマニズム』竹田純子訳、高城恭子訳、青弓社、1996年。ISBN 978-4787231277。194-199ページ。(原著 Psychedelic Shamanism, 1994)
  18. ^ウィリアム・バロウズ、アレン・ギンズバーグ『麻薬書簡-再現版』山形浩生訳、《 河出文庫》、2007年。155ページ。ISBN 978-4309462981
  19. ^^AKIRA『アヤワスカ!-地上最強のドラッグを求めて』講談社、2001年。ISBN 978-4062107860。258ページ。
  20. ^^ジム・デコーン『ドラッグ・シャーマニズム』竹田純子訳、高城恭子訳、青弓社、1996年。ISBN 978-4787231277。202ページ。(原著 Psychedelic Shamanism, 1994)
  21. ^ジム・デコーン『ドラッグ・シャーマニズム』竹田純子訳、高城恭子訳、青弓社、1996年。ISBN 978-4787231277。193ページ。(原著 Psychedelic Shamanism, 1994)
  22. ^永武ひかる『マジカル・ハーブ-南米の幻覚性植物とシャーマニック・ヒーラー』第三書館、1995年。41ページ。ISBN 978-4807495207
  23. ^AKIRA『アヤワスカ!-地上最強のドラッグを求めて』講談社、2001年。ISBN 978-4062107860。259ページ。
  24. ^McKenna DJ, Callaway JC, Grob CS. “The scientific investigation of ayahuasca: a review of past and current research“(PDF) (HTML) Heffer Review of Psychedelic Research 1:1998;p65-76.

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