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ストレス性疾患とサイケデリック・ルネッサンス

ストレスは、「闘争か逃走反応」を引き起こす苦痛である、とでも定義する。ストレスについての研究を行ったハンス・セリエは、1950年代にストレッサーという言葉に取って替えることで、外部刺激以外のことを含めた ((『ストレスに負けない脳』p26、64))。荒削りだが応用させようと思う。 2012年、英米の精神薬理学のトップは、拡大する精神疾患・閉鎖する製薬研究の状況を打破するために、効果のないドラッグ・ウォーの失敗からの薬物政策の転換の議論も加わり、サイケデリックス(幻覚剤)の応用を本格化させた。2012年10月ついに、研究が本格化するための環境が整った。サイケデリック・ルネッサンス(Psychedelic Renaissance)である。 強いストレスは、心血管にダメージを与え心筋梗塞などのリスクをあげ、免疫を低下させ風邪などの感染症のリスクをあげ、逆にぜんそくやアレルギーといった自己免疫疾患もたらす。また、うつ病をはじめとしたストレス性障害に結びつく。遺伝なり環境なりで弱かった部分や、負荷がかかりすぎた所からダメージが出る。だから、短期的な解決と根本的な解決、部分的でかつ特化した対応と全体的にじわじわ効いてくる対応のそれぞれが可能となる。というわけなので、緊急的な対応を行ったあとに全体的な修復を試みなければ、ほかの部分にダメージが来る。前2つの記事の逆向きの説明になるかと思う。 この仕組みについては「闘争か逃走反応」を理解すればいい。 闘争か逃走反応 脅威を感知した時に、原始的な反応を残した人体に何が起きるだろうか。「闘争か逃走」への備えである。つまり、次のようになる ((『ストレスに負けない脳』p20、41-44、108))。 副腎から、アドレナリン(ストレスホルモン)の分泌。 交感神経が臓器を動員する。 筋肉に酸素を送り込むために、呼吸が激しくなり心拍が高まる。 エネルギーの増加、つまり血糖値の増加と、脂肪の分解。 出血を抑えるために、血管の収斂と、凝血を早める。 鎮痛のために、エンドルフィンなどのオピオイドの分泌。 次に、CRF、ACTHの分泌を経て、副腎からコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌。 脂肪や糖分を蓄えやすくし、空腹をもたらす。また、インスリン抵抗性を増し、腹部に脂肪を蓄える。 けがに備え、短期的には免疫系の強化、長期的には免疫の抑制。 胃腸や生殖器は後回し。 これらは、ストレッサーに反応した時の「HPA軸」の反応とか呼ばれる。 副交感神経 その後、副交感神経が通常の状態に戻す。つまり、闘争か逃走反応の終結には、リラクセーションのスイッチを入れることである。これは意図的に行うことができる。 ストレス反応のバランスを取り戻す薬は開発されておらず、利用されていないと考えられている ((『ストレスに負けない脳』p30))。 ほかの要因によるコルチゾール分泌などの類似反応 そして、こうした反応はストレッサーがなくても起きる。つまり、悪い生活習慣によって起きることである。ストレスに対処しようとした誤った対策は、喫煙 ((PMID 8586813))・飲酒のように血圧を高めるもの、高脂肪食のようにコルチゾールの分泌を促す ((PMID 2789494))。ばかりでなく、これは依存が形成される。飲酒はラットで副腎の応答を活性化させACTHを分泌 ((PMID 9359583))。副腎を取り除いた動物ではコルチゾールを分泌できないが、この場合問題のなかったアルコール量で致命的になることから、アルコールの無毒化にコルチゾールが必要になることが分かる ((『ストレスに負けない脳』p203))。すでに脳と食習慣について、コルチゾールとの関連が少々言われている。 依存症の形成―誤った対策 デヴィット・A・ケスラー『過食にさようなら-止まらない食欲をコントロールする』伝田晴美訳。原著2009年刊行。アメリカでベストセラー。元・米国食品医薬品局-FDA-長官による告発。肥満増加の原因はジャンクフードに対する依存症である。 ストレスに対処しようとした誤った対策は、闘争か逃走のための身体の要請に従って、よりエネルギーを送り込もうとすることである。あるいは誤ったストレスの緩和である。そしてこれは、ドーパミン神経系の刺激を通じて、オピオイドを放出する。オピオイドは、痛みやストレスを緩和し、短期的に気分を良くするが、これはさらに報酬系を刺激するものを欲するサイクルに陥る。依存症である。依存症の発症と再発のリスクの一つはストレスである。 可能性のある代替案 依存性が高いオピオイド以外に、より有害性の低い緩和方法があるのだけど、乱用を理由にして研究もできなくなった現状を英米がなんとか切り開いてきてる。オピオイドや報酬系を刺激するなんとかフェタミンのような有害性の高い薬物と、同等の刑罰化とイメージ付加を行ってしまっているという、難しいところを切り開いた。ストレス性の疾患は全般的に、病気が拡大しているのに新しい薬がない状況に陥っており違法化されているが過去の研究から可能性があり、科学的には有害性というか安全性も再評価を行って治療目的どころか嗜好目的でも安全だとする。ちなみにそういった近年の高度な科学的な手法をとれば、イギリスの科学の結晶から見ればアルコールとタバコは最も有害性があり違法化すべきである。ここまで科学性を高めて英米の科学者は今の薬以上に安全で有効性が高い可能性があるとして切り開こうとし、どんどん成功している。 代替のストレス緩和であるカンナビノイド モルヒネを置換する治療法なんていうと、ぜんぜんありな感じはするでしょう。 カンナビノイドは、痛みやストレスを緩和し、気分を良くし、ピース系を刺激するサイクルに陥る。ヒッピーである。 依存症に対するサイケデリックス 従来の依存症治療では良くて治療率は30%だろう、それが70%とか言われていれば研究者は試したいだろう。 セロトニン受容体5-HT2Aを主として刺激するサイケデリックス、LSDを使ったアルコール依存症の治療を近年の手法で統計しなおしたところ結果が出ていた、シロシビンを使った禁煙のための認知療法が今行われている、依存症に対して近年だとアヤワスカとイボガインにデータがあると思うんだけど、ヒッピー時代の研究だとLSDとシロシビンが主で、乱用で規制され医療利用ができないとまでされているが、有害性が再評価され、過去の研究から今の治療法以上の可能性が見えるので、再びスポットライトが当たっている。なので、研究がつぶれることはもうない。むしろ広まっていくだろう。最近LSD、シロシビンとアヤワスカでドキュメンタリー映画も撮られた。 もうひとつは麻酔薬ケタミン、グルタミン酸受容体NMDAを刺激することがわかっている。併用の心理療法がさまざまなドラッグの依存症に有効であるという研究が上がっている。 共通する体験は、一体感と不安のなさである ((Franz X. "The neurobiology of psychedelic drugs: implications for the treatment of mood disorders" Nature Reviews Neuroscience, 2010. PMID 22817963.))。 ・Franz X. "The neurobiology of psychedelic drugs: implications for the treatment of mood disorders" Nature Reviews Neuroscience, 2010.

スチュアート・ブランド、ホールアースカタログと情報共有

スチュアート・ブランド(Stewart Brand)は、1960年代にサイケデリックスのLSD(俗称アシッド)で目覚め、ケン・キージー一行のアシッド・テストにかかわった後、『ホール・アース・カタログ』(whole earth catalogue)を発行し、世界中の文化や自給的生活やパーソナル・コンピュータとエコロジーを知らしめる。カタログは1972年に全米図書賞を受賞するが、カタログの葬式を行い資金を社会に還元するとして資金を託された平和活動家のフレッド・ムーアは、ホームブルー・コンピュータ・クラブをつくりクラブからアップル・コンピュータが誕生し、自分が懸命に作ったプログラムをクラブで共有されたビル・ゲイツはコピーの不条理さを訴えた。ブランドは1980年代には、『ホール・アース・ソフウェア・カタログ』を発行、現在(?未来?)のコンピュータネットワーク社会の縮図のような研究を行っていたMITメディアラボを取材した『メディアラボ』を発行する。インターネットがなかったから、『ホール・アース・カタログ』を作ったんだ。 2916

ティモシー・リアリー

ティモシー・リアリー(Timothy Francis Leary, 1920年10月22日 - 1996年5月31日)は、意識の自由を探求し続けた心理学者である。初期にはサイケデリックスにより、後期にはパーソナルコンピューターによるサイケデリック革命を提唱し、死期に際しては死の概念を大きく広げた。彼が文化に与えた影響は計り知れない。 Timothy Leary - setup, and tripping version by maboroshi. ティモシー・リアリー トレイラー ティモシー・リアリー [DVD]ティモシー・リアリー博士の生涯Amazon.co.jp 475

アルバート・ホフマン

アルバート・ホフマン(Albert Hofmann、1906年 - 2008年)は、サイケデリックスのLSDを合成したことで有名なスイスの化学者・薬理学者である。ノーベル賞委員会会員(ノーベル賞受賞者を選ぶ立場)、世界科学アカデミーメンバーをつとめた。LSD プロブレムチャイルド&ワンダードラッグ [DVD]Amazon.co.jp 1783

オルダス・ハクスリー

オルダス・ハクスリー(Aldous Huxley Leonard, 1894年 - 1963年)は、イギリスの学者の名門の家系に生まれ、小説作家や思想家で有名となった人物です。晩年の人間の意識に関する考察は意識の革命運動に火をつけ今日でも重要な役割を担っています。キリスト教と西洋哲学、古い精神分析と行動主義心理学の行きつく先を描いたうえで、世界の「心の扉」を開こうとしたんだね。『この永遠の瞬間』Amazon.co.jp 329

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