科学的根拠に基づく、新しい薬理学の終焉、古き薬理学の復活 サイケデリック 医療 心理学・精神医学 by まぼろし - 2013年9月18日2018年8月7日0 前の記事から約一年、もっぱら薬について情報収集していました。 スケジュールIをどうにかしようという話しがありますが、順に見ていくと不可避な感じですね。 ・David J. Nutt, Leslie A. King, David E. Nichols”Effects of Schedule I drug laws on neuroscience research and treatment innovation“「神経科学の研究と治療の革新におけるスケジュールIの影響」 Nature Reviews Neuroscience. 14, 577–585 (2013) doi:10.1038/nrn3530 スケジュールについて スケジュールIというのは、条約上の規制です。 ・スケジュールI LSDなど医療に使えないと判断したドラッグの規制。 ・スジュールII 医療に使えると判断したドラッグの規制で、アンフェタミンやメチルフェニデートといったもの。 ・スケジュールIII 医療に使えると判断したドラッグの規制で、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬といったもの。 医療使用可能範囲の縮小 こういう規制が40年~50年前に始まったんですが、スケジュールIは使えませんということで、その後を見ていきますと、使えるものは限界まで研究されて行きました。 スケジュールに該当していないものにも、依存性なり、離脱症状なりがありますね。そこで、薬の使用期間と使用用量の問題が追及されてきましたと。 term(期間)の問題 依存性や薬物に耐性が生じるので、スケジュールIIIでは特に使用期間が限られることについての言及が多い。 dose(用量)の問題 mono単剤か、poly複数かということで来て、基本的には単剤治療、単剤、単剤という証拠が増えてきました。さらに用量の問題が追及されてきています。 単純に副作用もだけど、薬の依存のメカニズムに起因する副作用は重篤になるといろいろ難しいことが出てくる。 を通してきました。そうしてさらに、先端の議論では、 クロルプロマジン時代の終焉 unuse薬を使用するか否かまで来ています。有効性の限界が判明し、薬には害もあるので使用するか否かの議論もあるし、中にはあまり使わないほうがいいということで決定的になってきたものもある。最初のスケジュールIの動向をサイケデリック・ルネッサンスとすると、自分はクロルプロマジン時代の終焉と名付けます。抗精神病薬のクロルプロマジンから、新しく薬の開発というものの歴史がはじまり、60年を通して魔法の薬ではなくなってきました。議論中ですが、決定打の議論はこのようなところです。 ・脳の用量の減少の問題:脳の用量が減少するという問題により、抗精神病薬の使用期間はさらに限られてくるのでは。 ・精神病の回復の定義の問題:回復の定義により、薬の使用の是非が変わる。 それと前回の記事にあるように、薬の開発が停滞してきました。 スケジュールIに対する国連の動向 現行の規制を国連が問題にするようになってきたこともあります。意味がないので代替政策を考慮せよということになってきました。来年あたりに動きがある、と。 ・U.S.-led “war on drugs” questioned at U.N. ・New York, 26 June 2013 – Secretary-General’s remarks at special event on the International Day against Drug Abuse and illicit Trafficking サイケデリック・ルネッサンス 最初の論文のようなところに話が戻ってきます。 依存性がない まず一つ目に、サイケデリック薬は、本質的に依存性がない薬であり、また依存症の治療に使えると。上に出てきた今の薬は、依存の呪縛に縛られているので、このことはものすごいブレイクスルーです。今の薬は、多くの場合は適正に用いられなかった場合ですが、減薬に一年費やすような場合も出てきます。 ・Hallucinogens in Addiction Treatment: The Trippy New Era ・Psychedelic Drugs Still Popular in the U.S. 医療に使えないということはない アメリカでも一般化してきた医療大麻という存在が、もはやスケジュールIの定義を粉砕しています。大麻の場合は依存性は少し違って、少し依存性が出る人もあるが、一般的に依存性がないか、離脱症状は身体依存が無くかなり軽度であるというところです。大麻が精神病を引き起こすという問題も違うということが蓄積されてきた。どちらかというと、今の薬は安全に用いなければ精神病や身体依存を引き起こすような機序があります。 何の医療に? ・MDMA併用の心理療法をPTSDに 治ったといえる状態が何年も持続しているようです。複雑な言い回しになっています。単純に、治ったでいいかと。 これは、ゴーサインがたくさん出ています。RCTという研究でたくさんゴーサインが出ていますので一番ゴールに近い。 ・シロシビンをうつ病に これは、一度服用して、それから服用しない何カ月かして抑うつ度が改善されていることを期待して、研究をやろうとしている。どれほどの効果があるかはまだよくわからないからです。ほとんど化学構造が同種の薬であるLSDも使えるように動いているようです。 ・医療大麻を色んなところに 研究が蓄積されて使用が推奨されているようなところでは、がん治療における制吐剤がある。 スケジュールIが障壁である 医療に使える可能性があるのに、医療に使えないというスケジュールIがあるので、これが障壁になって研究が進みにくいというところに来ている。 じゃあ、医療に使えないというスケジュールI、ここを突破しようぜーみたいな動きが科学者に起こってきているというところです。 大麻とシロシビンとなると、古代中国では~~、南米のなんとか帝国で~~~、となりますので非常に古い歴史になります。 ケン・ウィルバーの理論におけるrational合理性の発達を通して、mystic神秘を引き込み、preとpostの混同が突破され、精神病と神秘体験が識別される。そんな話が。 実際、ENLIGHTENMENT ENGINEERS、この流れは続くでしょう。 非依存状態や、サトリを誘発しちゃいますから。