幻覚剤の使用が主流になるのは確実だと思っているし、日本語のニュースも以前より増えている。
サイケデリック・ルネッサンスの動向
これまでよく使われた承認された精神の治療薬は、効果はそこまで大きくない、副作用は重篤でホンモノといった感じです。効果は症状の改善にとどまる。副作用は強く、劇薬の指定や強い身体依存性がある。仮に2割治すとするけど、しばしば飲み続けることになる。長期で飲むと強い依存や代謝異常・内臓障害も増えるので、ダメならほかのもっと無害な方法を組み合わせて立て直さないといけない。
- 論文 エビデンスに基づく精神医学評議会 (英語)
- 論文 有効性と副作用のデータ解析をしている人のPubmedの論文
- その人のサイト deadlymedicines.dk
そういった状況でケタミンがうつ病を治してしまう(仮に7割治すとする)ことに注目が集まり、そのS体が2019年3月、うつ病に使うエスケタミンとして医薬品 Spravato になりました。R体もあってこっちは日本の大学が研究中です。
PTSDに対するMDMA併用療法の承認が秒読み段階です。これもPTSDを治してしまう。依存性は少ないし飲み続けない。治験最終の第III相試験が進行中でアメリカで2021年に承認予定となっている。もともと以前に画期的治療法 Breakthrough therapy の指定がされていて承認が迅速化されるのだけど、2020年には治験中の治療に重症患者がアクセスできる「拡大アクセス」をアメリカFDAが承認。承認前だけどもう使えます。自閉症のコミュニケーションとアルコール依存症でも臨床試験がある。
- 論文 MDMA-assisted therapy: A new treatment model for social anxiety in autistic adults MDMAの安全性評価、オープンアクセス
- ニュース MDMA for PTSD granted Expanded Access by FDA, patient treatments begin 拡大アクセスの承認
マジックマッシュルームの成分シロシビンは、うつ病の治療薬として第IIB相の治験中でしかも多国籍でやってる。イギリスとアメリカで同時進行で承認されれば抜群の影響力です。これもアメリカで画期的治療法の指定もある。MDMAの後くらいに承認されるのでは。大量生産のために遺伝子組み換えした菌がシロシビンを製造できる技術が開発されてきた。禁煙でも臨床試験がある。ケタミンが1回効果が1週間程度は続くのに対して、シロシビンは治療から3か月、半年後でも効果が続いている。今は飲んでいないのに効果が続いているということです。効果はホンモノで、副作用はささい。逆転してくる。
5-MeO-DMTでもアヤワスカではなく、短時間で抗うつ作用があるという研究がある。吸入だろう。ヒキガエルが分泌するという方向からも注目されている。
- ニュース COMPASS Pathways and King’s College London Announce Results From Psilocybin Study In Healthy Volunteers
- ニュース Could DMT Psychedelic Become A New Treatment For Anxiety And Depression?
統合失調症の薬は幻覚剤では欠けているんで、大麻の合法成分のCBD(カンナビジオール)が唯一で、ドイツでは Arvisol という医薬品の治験まで行われている。
- 論文 カンナビジオールの治療効果とその作用機序
- 論文 Cannabidiol (CBD) as an Adjunctive Therapy in Schizophrenia: A Multicenter Randomized Controlled Trial
- ニュース Klinische Studie zur Wirksamkeit von Cannabidiol CR (Arvisol) als Zusatztherapie zu einer Behandlung mit Olanzapin oder Amisulprid im Frühstadium einer Schizophrenie
流れがきているので、薬物規制の根拠である条約を作る国連が変わってきたんですね。1971年からはじまった薬物との戦い(薬物戦争、Drug war)は逆効果だと言われ、北米ではヘロインと医療麻薬の過剰摂取で死亡し、南米ではギャング同士の抗争と取締りによる銃撃戦で大勢が死に、大麻や幻覚剤みたいな依存性も少なく治療効果の強いものが使えずにいる。科学的証拠に基づいて依存は治療し社会への再統合を促し、大麻も含めて再考しよう、研究を確保しよう。「人権と科学に基づこう」と国連が声を大きくして変わってきた。
イギリスでは2018年から医療大麻が使えるんですが、なかなか使われてこないということで2万人参加させる研究のTwenty21 プロジェクトが開始されます。前の記事の自分が字幕をつけた1個目の動画の人、EUの薬理学会のボスが主導してるんで間違いない。
- ニュース WHO、大麻およびカンナビノイドの医療的価値を認める勧告へ(解説図あり)
- ニュース 国連システム事務局長調整委員会(CEB)が「薬物政策に関する国連システムの 共通の立場」で満場一致で支持した声明文の和訳
- ニュース 医療目的での大麻の使用に関する2019年2月13日の欧州議会決議
- ニュース Medical cannabis trial will target 20,000 UK patients
「論文レビュー」と「オープンアクセス」の増加。論文を探索して研究の流れをまとめた論文レビューが増えているので、すごい情報を得やすい。論文がオープンアクセスになることが増え、読めたきゃ読める、翻訳したきゃできる。それをもう許可してある。知識が変わることで、世界が変わるという仕組みも整った。
あとはマイクロドージングという、七色の世界にぶっ飛ぶ量の幻覚剤ではなくてもっと20分の1とか微量で日常の機能向上程度を目指す使い方があって、その研究も増えています。もともとシリコンバレーで流行り出して研究の裏付けがなかった。これはまだまだ研究が無いですけど、3日ごとに微量のシロシビンとか、将来そういう使われ方になるかもしれない。
その他の話
英語が結構苦手だったんだけど、日本語では読んで濃い情報がもうないんで仕方なく全部の単語をオンライン辞書でひいてやってると、毎年どんどん英語が読めるようになってきてる。文法とかよく分からないんだけど。幻覚剤だけじゃなくて色々と読みます。もっと無害な方法とは・・
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