瞑想(meditation)とは、たとえば呼吸に注意を集中することによって意識を穏やかにする手法であったりとさまざまに種類があり、最終的にはものごとをあるがままに捉えることを目指す。座禅やヨガは瞑想の一種である。呼吸に注意を集中する方法は、瞑想の入り口でもありゴールでもある。方法を大きく分けると、イメージを行い感情を変化させる瞑想、イメージやものに集中し精神を静かにする瞑想、マインドフルネスと呼ばれる何ごとも静かに注意深く観察する瞑想に大別される。
マインドフルネス(mindfulness)とは、現在、瞬間的に起こっている外部の事柄や内部の経験を随時観察していくという心のはたらきを意識的に働かせることである 。マインドフルネスは、瞑想の一種である。マインドフルネスを意識的に行っていくことで、いつしかそれに集中した状態になり、さらに熟練することで集中状態から瞑想状態へと移り、心は澄み平穏となる 。あれこれ彷徨っていた思考が静かになる。
無神論である仏教による瞑想や、瞑想によって神との合一を図るさまざまな潮流は、神と天国をわけのわからない外部に想定するなどということをしない伝統である。世界の宗教対立を止める世界平和原理・宗教観統一原理の一端をこの分野が担っている。
ここ数年、マインドフルネスな意識状態は心理学の分野で治療・臨床への応用が盛んである。同じくここ数年、臨床への応用が心理学でも模索される「根拠に基づいた医療」とも重なって科学的な有効性が報告されており、面白くなっている分野だ。精神医療の専門家向けの著作に『マインドフルネスストレス低減法』 、『マインドフルネス認知療法-うつを予防する新しいアプローチ』 、『マインドフルネス&アクセプタンス-認知行動療法の新次元』 、『自傷行為治療ガイド』 、自助的に自分が実践する本として、『10分間瞑想健康法-日々の不安・うつ・パニックがとけていく!!』 、境界性人格障害向けの『自傷行為とつらい感情に悩む人のために』 、摂食障害向けの『食も心もマインドフルに』 などがある。
アメリカ軍の兵士がストレスに対処するためにも用いられている 。
ハーバード大学医学部のハーバート・ベンソンらは、リラクセーション反応が疼痛や不妊、関節リウマチ、不眠が原因の病気に有効であることを示してきており、1日1回20分のリラクセーションがストレス予防に役立つとしている 。ベンソンらは、瞑想によって遺伝子の活性化パターンが変化することを観測し、長期実践者では2209遺伝子、8週間の訓練者は1561遺伝子に発現の変化が見られた 。遺伝子の変化によってストレスに対する反応が変わる 。
寺があり仏教僧が禅を行うことを知っている日本において馴染みのある仏教は、心の性質について系統だった分析体系を持っているのでここから本題に接近していく。
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